2012年10月30日火曜日

映画「アルゴ」を見逃さないように

久しぶりに映画の話など。

先週末(10月27〜28日)の映画興行ランキングは、大変残念な結果になりました。順位と題名だけ抜き出しておきましょう。

1「スマイルプリキュア! 絵本の中はみんなチグハグ!」
2「エクスペンダブルズ2」
3「ツナグ」
4「踊る大捜査線 THE FINAL」
5「終の信託」
6「ロラックスおじさんの秘密の種」
7「アウトレイジ ビヨンド」
8「009 RE:CYBORG」
9「神秘の法」
10「アルゴ」

残念と言っても、「プリキュア」の新作が1位になったことが残念なのではありませんよ。

「アルゴ」が10位だったのが残念なんです。これ、もっと上のポジションにいるべき傑作映画。個人的に、今年見た映画の中でベストワンです。


舞台は1979年のイラン。テヘランのアメリカ大使館が暴徒化したイスラム原理主義者に占拠され、大使館員6人が人質状態に。6人はどさくさに紛れてカナダ大使公邸に逃げ込みますが、そこから身動きできない。彼らを救出すべく、CIAのエージェントが架空の映画製作をでっち上げ、イランでロケハンする計画を立てる。大使館の6人を、この映画の製作スタッフに偽装してイランから出国させようという「本当にあった人質救出作戦」の映画化なんです。

「スター・ウォーズ」が公開されたのが1977年。「スター・ウォーズ」はチュニジアの砂漠などでロケを行っています。そんなハリウッドの「実績」を活用し、イラン当局に「月や火星のシーンを、砂漠やモスクでロケしたい」とSF映画の撮影許可を求めます。今となっては陳腐な気もしますが、「スター・ウォーズ」直後なら、受け入れられても不思議ではありません。イラン当局はどんな返事をするのか。

そして、軟禁状態の大使館員たちは高級官僚でエリートですから、そんなアホな計画に「そんなんでイラン当局を騙せるワケがない」と不快感をあらわにします。が、軟禁状態の精神的な疲労から、次第に「他にマシな案がないならいっちょやったるか」と変節していきます。

そんなこんなで色々あって、手に汗握るクライマックスに突入。いやー、21世紀の「大脱走」という感じでシビれますよ。



この映画に描かれる内容は、18年間機密扱いで、クリントン大統領の時代に機密が解かれたんだとか。いち早く映画化権を手に入れたのは、ジョージ・クルーニーです。今回、弟分のベン・アフレックが兄貴に仁義を切って、映画化(監督&主演)したという次第。ジョージ兄貴はプロデューサーで参加しています。

USの評判や国内の批評家の意見を総合すると、「いま、もっともアカデミー賞に近い一本」ということで間違いありません。もちろん、本当の本命作品は年末に向けてこれから出てきますから、賞レースの行方は分かりませんが、「アルゴ」が最終的に受賞できないにしても、作品・監督・脚本・編集・撮影など主要な部門でノミネートされるのは間違いないでしょう。

オスカーが発表されるのは来年の2月です。その頃、この映画は絶対に映画館では上映されていませんから、いま見るしかないんです。

オープニングのランキングは10位でした。ギリギリ、トップ10に入っているとはいえ、5位以下はヒットの部類に入りません。私が予想したよりも低い順位です。これから、どんどん公開劇場は減っていくでしょう。

最近、面白い映画見てないなあという方、是非ご覧になってみてください。

0 件のコメント:

コメントを投稿