2014年8月16日土曜日

レストランというより実験室。ムガリッツのランチを食べてみた

前日はバルでピンチョスをたらふく食べました。たぶん今晩もピンチョスでしょう。とはいえ、ピンチョスだけじゃあ物足りない。美食の町サン・セバスチャンに来たからには、星付きのレストランの一軒も訪ねておきたいところです。

というわけで、やって来ました「ムガリッツ」。ミシュランで星2つのレストラン。今は閉店してしまった「エル・ブリ」で有名な、分子ガストロノミー系の草分けの1つです。しかしぶっちゃけ、評価は賛否両論。ググって出てきたブログには、「理解不能」「こんなの食えネ」「見た目は凄いがちっとも美味くない」などの意見が散見されます。

楽しみじゃないですか。

ムガリッツは、お店のWebで予約を受けつけています。我々は、7月31日のディナーを予約しようとしたのですが、ディナーはかなり先まで埋まっている模様。ランチなら31日でも空きがあるということで、12:30から14:30までのランチコースを予約しました。

ホテルからタクシーで30分ほど。山の中にお店はあります。


少し早くついたので、外のガーデン席でワインを飲みながら待ちます。

やがて、そのまま外の席でコースの前菜がスタートしました。では、出てきた料理すべてをご紹介していきましょう。メニューに載っていた料理名とともに。


A dozen smeared radishes. ラディッシュ。指でつまんでそのままムシャムシャと。


Two taste teasers; grill-dried mussels and home-made blue cheese veil. 左のチーズがぶよぶよで面白い食感。


Marshmallow sponge with onion and pine nuts. マシュマロ。岩石に乗ってでてきます。


Lacquered duck neck with herbs and dry grains. 鴨の絵が描いてある。首のところを食べるんです。


Caesar's Mushroom with sesame. これは日本では見かけないキノコ。



Black truffle slices. Fresh dressing of garlic and parsley. レイアウトにもこだわりが感じられます。


Vegetable tiles. A hardful of Highland grass. これ、最初からテーブルに無造作に置いてあって、後から「実はこれも食べられるのよ」って台の上に乗せられた。確かに食べられるんだけど、芝生食べてるみたいでちっとも美味しくない。無理があるよなあ。

ここで前菜が終了し、建物の中に入ります。



テーブルには、ガーゼに包まれたパンと、石ころのようなものが6個置いてあります。



「これも食べるのかな」と石を眺めていると、レストランのお兄さんが、「厨房へどうぞ」と声をかけてくれました。

厨房とは言え、私たちが通されたのは、料理を盛りつけているだけのフロア。料理を作るところは別のフロアで、さらにもう1フロア「ラボ」があるそうです。

ラボでは日々、色んな実験が行われているとのことで、お兄さんはこんな花を私たちに差し出し「さあ、食べて」と。


「この花には日本酒がスプレーしてあるから、日本人の口に合うよ」

「出てくるものは、何でも食べられる」というのが彼らの演出するサプライズのタネのひとつです。


ところで、ムガリッツは一度火災で全焼したそうですが、日本はじめ色んな国からのサポートで再建できたのだそう。

さて、席に戻ります。コースも中盤にさしかかってきました。


Set peanut with crab and squash cream. 何とも複雑な味のクリーム。

ここまで、手で食べる料理ばかりでしたが、はじめてフォークが出てきました。で、「そのフォークも食えるぞ」と。やはりそうきたか。

ポキっ。確かに食べられますが、砂糖のかたまりだね。


The game at the table; gambling a bite of bread and heavy cream. ここで、漫画と骨(写真の右端)が出てきました。「はいはい。これも食えってことだろ」と骨を口に入れかけましたが、そうではなかった。骨を使ったじゃんけんみたいなゲームを2人でやらされて、勝った方がキャビアをもらえるというゲームでした。

コースに戻ります。ナイフとフォークがセットされました。


Tomato with gelatinous broth. お肉の味がするトマト。面白い。そう、「美味しい」じゃなくて「面白い」。


Costal fish with costal herbs. だいぶ料理がまともになってきました。



ここで、すべてのテーブルにこのすり鉢が配られ、客が食材をすりすり。Linking... dip of fried bacon and saffron, cornbread.


Cod tongues in a bone marrow emulsion. タラの舌。タラタンです。


Pig tails and squid. ブタの尻尾なんて、日本じゃ食べないよねえ。


Steak cured in blue... spicy contrasts. ステーキはブルーチーズの味がします。


ここからデザート。ふたたび外の席に移動します。確かに、外の方が気持ちがいい。


Herbs and fruits stained with a cold blue cheese cream. ブルーチーズがまた出た。


Stracciatella. ストラッチャテッラって何のことだっけ? 


Lemon Succade with our herbs from yesterday and today. お店の菜園で取れたハーブ。


Strawberries with cream. イチゴクリーム。


An almost impossible bite: Sugary porta
テーブルに置いてあった石ころは、砂糖の塊でした。それを削ってふりかけます。


そして最後に、こんなパゴダのような物体が。


ひょっとして、中からお勘定が出てくるかなと思いきや、チョコレートでした。

コーヒーを飲みながらチョコを食べて、気がつけば4時間近く経っています。外で食べてる間は、そこら辺歩き回ったり、庭の写真撮りに行ったりとなごみながら過ごせます。他人の別荘に遊びに来たみたいなね。


いやあ、ムガリッツ。期待に違わぬランチコースでした。料理の美味しさというより、サプライズを追求する姿勢。それはそれでアリではないかと。「え? これ食べられんの?」「え? こんな味なの?」の連続は、次の一皿を楽しみにさせてくれますからね。




もちろん、「こんなの料理じゃねえ」って怒る人もいるでしょう。その気持ちも分かります。まあ、分子系が嫌いな人は二度と行かなければいいだけの話で。私は、ここは最高のレストランだとは思いませんが、数年後にまた訪れたいと思いますよ。また「驚き」に遭遇したいですから。

ちなみに、本日のお会計、2人で462ユーロ。加えて、タクシーの往復で45ユーロ。ね。数年に1回ですよ。

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